岩手・釜石 NPO法人おはこざき市民会議が主催する定置網体験に参加してきました。以前から「コレはおすすめですよ!」って何人かの方から言われていました。結果から言うと「チョ~凄い!」っていう体験内容でした。
03:30に集合した後、ライフジャケットや長靴の貸し出しを受け桑ノ浜漁協の番屋に移動。簡単なレクチャーを聞いて隣の両石漁港から定置網漁船に乗り組み出港。今日見学させていただくのは、沖合の三貫島の北と南に設置してある2ケ統の定置網の網起こしです。
参加者が2船に分乗して、両石漁港を04:30に出港。約20分で漁場に到着です。 霧がかかって幻想的な朝の風景です。非日常の世界。こんな絶景を独り占めしている漁師はズルいって思いながら写真を撮り続けます。天気は晴れ、微風、波1m程度。絶好の凪です。
定置網ってのは魚の通り道に常時網を仕掛けてあって、バックできない魚の習性を利用して、魚群を網の奥へ奥へと導く漁法です。魚が袋網と呼ばれる最後のコーナーに溜ったところを2船で向かい合うような形で引き上げます。
最初の漁は三貫島北側の定置網です。所定の位置に船を着けて、網を手繰って袋網を絞っていきます。作業を開始して20分ほどで網が狭まってきます。上層に浮いてきたのはスルメイカ、さらに絞り込むとサバが現れます。5kg前後のメジマグロ(黒マグロの幼魚)も入っていましたが魚種は少なめです。
最後の網絞りになると網の重量は相当あるのでしょう、「エンヤサー エンヤサー」と掛け声をかけて網を上げてます。カッコイイ光景です。最後の一匹まで丁寧に魚を獲ります。命への畏敬が感じられた一瞬です。
この時期のサバは体調30-40cm程度の中型。まだ脂は十分ではありません。秋になると50-60cmになり体脂肪率もオレ位になると、焼いても脂滴る旬になります。
次の漁は三貫島南側の定置です。水深90m付近に仕掛けられた定置です。北側よりも規模は大きいようです。北側と同じ手順で網を絞り上げます。少ししか離れていない北側の定置に比べ魚種が違います。メインはスルメイカとサバと同じなのですが、他にマダイ、ハナダイ、マトウダイ、ヒラメ、ホウボウ、ソイなどが混じります。
漁師さんに話を聞くと南から上ってくる魚は南側の定置に、サケなどの北から下ってくる魚は北側の定置に多く入るって言ってました。なるほど道理です。
今日の2ケ統の漁獲は約20トン。まずまずの漁のようです。この時期はサバとスルメイカが主な獲物ですが、この連休前には300トンの記録的漁獲があり、1日では上げきれずに3日分けて上げたそうです。
残念ながら今日は船酔いの方が出てしまいました。酒しか酔ったことが無いオレとしては、申し訳ないけど船酔いした時の感覚はわかりませんが、死ぬほどつらい、帰りたくても帰れないやりきれない気持ちは察することができます。 船酔いが心配な方は十分に睡眠をとること、酔い止めを少なくとも1時間前には飲んでおくこと、すきっ腹で乗らないことを心がけてください。
そして体験はここで終わりではありません。
2船に分かれていた参加者は1船に乗り移り市場へ水揚げです。両石港の隣、釜石港の魚市場に水揚げです。獲物がお金に変わる瞬間を見ます。市場には仲買人がすでに待ち構えています。船が岸壁に着岸したらすぐに水揚げ開始です。鮮度を落とさないように素早くシステマチックに魚が捌かれます。魚種ごとに水揚げしベルトコンベア流し、他魚やごみが入ってたら取り除いて約800kg入る大きな容器に移され、フォークリフトで運んで計量。そして入札です。
最近のkg単価はサバが平均70円 高値400円 スルメイカは平均300円 高値650円ですからイカか先に荷揚げされます。こんなところにも売上と鮮度へのこだわりが見て取れます。
市場を一通り見学したら本日のメインイベント、番屋での朝食です。番屋って聞くと、よくTVで見る知床の木造築〇十年の小屋をイメージしますがとんでもありません。すごく立派な番屋です。番屋というより定置乗組員事務所兼漁具置き場と言った方がイメージ湧きやすいと思います。普段は漁を終えた漁師さんが遅めの朝食をとったり休憩したりする場所だそうです。
この番屋で浜のお母さん達が作ってくれた朝食をいただきます。
この料理のボリュームと鮮度の良さはどこの名店にも見劣りしません。ホタテの浜焼き、スルメイカの刺身、ホタテの刺身、サバの潮煮、ホヤの刺身、イカゲソと野菜たっぷりイカメンチ、スルメイカの煮つけ・・・なんぢゃこりゃ~ ってな二重否定的超感動料理が並んでおります。食べる前からかっちりと胃袋をつかまれました。
オレの初体験はサバの潮煮。脂肪の少ない今の時期のサバをあっさり塩味で戴きました。もちろん他の料理の味も絶品。さすがにこれだけの量を間食できず、お持ち帰りさせていただきました。それにハナダイ(チダイ)の塩焼き用お土産まで付いていました。このおもてなしの精神にいたく感激。150%の満足で番屋を後に覚ました。
漁師ってかっこいいって思いましたよ。
たった1日の見学で言うのもおこがましいのは承知ですが、普段は無口でシャイな人が多い漁師さん。漁師の魅力を外に十分に発信しきれていない部分も多いのでしょうね。
後継者不足が叫ばれて久しいです。
魚がいるだけではだめなんだ。漁師さんがいないと!!
秋にはサケが入り始めます。そのころ今回同様の体験漁業があるようです。朝食はひょっとしたらサケ尽くしかもしれません。
料金・内容などに興味がある方はNPO法人おはこざき市民会HP
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